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SHAKKAZOMBIE(シャカゾンビ)
この記事に到達した方は、ラップ好きかストリートファッションが大好きな方だろう。
今回は、彼らの楽曲をメインにお届けするが、彼らがストリートファッションにも与えた影響にもフォーカスしたいと思っている。
前回の記事でメンバーについて解説しているので見てない方はそちらからお読み下さい。
SHAKKAZOMBIEメンバー紹介👇
彼らの楽曲をチェックする前にシャカゾンビが90年代当初に如何に突出した存在であったかを説明しておく必要がある。
90年代の日本はNYのラップが直輸入され、当時のRAPの特徴でもある、排他的で挑戦的な楽曲がその多くを占めていた。
ラップの命題であった反政や、反仕組み、反社会など、不満や鬱憤を吐き出すような楽曲が多かったんだ。
だが、シャカゾンビはそんな主流な楽曲とは裏腹に不満はあるが前向きで情緒的をテーマにしたような楽曲をドロップし続けた。
つまり、先人たちが吐き出した言葉の数々を肯定しつつ、自分達の特徴を最大限に表現する楽曲が彼らのテーマだったのでは?と、僕は考えている。
主義主張の対立はあるものの、最後には笑えてりゃいいじゃん!っていう楽曲は、どこか力が抜けており心地が良いの一言に尽きるが特徴だ。
結果として、ヒップホップという文化の中で生きてはいるが、型にハマらず自由な発想がアパレル業界への進出などという結果に結びついたんだろう。
この事実を頭の片隅に置いて、彼らの楽曲をぜひチェックしてみて欲しい!
90年代において独自の感性でスタイルを確立したSHAKKAZOMBIEの楽曲だが、現代においてもどこか他の楽曲とは一線を画す楽曲として聴こえるはずだ。
彼らの楽曲をぜひ、自分の耳でそして脳みそと心で感じてもらうことで、きっと何かしらの変化を与えてくれる、そんな彼らの楽曲を紹介していきたい。
SHAKKAZOMBIEの楽曲
ここからはシャカゾンビの楽曲を紹介していこうと思う。
全部の楽曲は紹介しきれないので、僕がおススメする楽曲をメインに紹介をしていきたい。
まずはシャカゾンビの全楽曲を紹介しよう!
「SHAKKAZOMBIE」シングル&EP
1995年09月01日 SHAKKATTACK
1996年04月24日 手のひらを太陽に
1999年06月09日 BIG BLUE
2000年12月06日 GET YOURSELF ARRESTED
2001年11月28日 SO TIGHT,SO DEEP
2002年06月05日 WHAT U WANT?
「SHAKKAZOMBIE」アルバム
1997年 07月24日 HERO THE S.Z.
1999年 07月23日 JOURNEY OF FORESIGHT
2000年 02月23日 S-SENCE 2000
2001年 06月27日 GET ON DA TRACK
2002年 03月27日 THE GOODFELLAZ
2022年 01月05日 BIG-O DA ULTIMATE
90年代のグループとしては、結構多くの楽曲を残してくれているのがシャカゾンビだ。
年代別に追っていくと、段々と角が取れ元々ポジティブな彼らの楽曲が徐々に深みを増していく心地よさを感じてもらえることだろう
では、僕のおススメを紹介していこう。
SHAKKATTACK
1995年にドロップされた SHAKKAZOMBIE 初となる音源が「SHAKKATTACK」だ!
結成から約2年の歳月をかけてドロップされた本楽曲は、SHAKKAZOMBIEの真髄である前向きで肯定感のある楽曲ではまだない。
おそらくSHAKKAZOMBIE最初で最後と言っても過言ではないほどに尖ってはいるものの、今後の彼らを想像させるには容易な、オリジナルテイスト満載なアルバムだ。
「SHAKKATTACK」
01. Shakkattack Feat. Kuro Ovi
02. Shakkattack (Tsutchie Mix)
03. 無限のスペース
04. Shakkattack (Instrumental)
05. 無限のスペース (Instrumental)
06. Shakkattack (クボタ’s Groove)
アルバムのタイトルと同名の楽曲「Shakkattack」には客演でSHAKKAZOMBIEの名づけ親でもある「キミドリ」の「Kuro-Oviとクボタタケシ」が参加している。
Shakkattack Feat. Kuro Ovi
手のひらを太陽に
SHAKKAZOMBIEの名をシーンに広めたと言われている楽曲がこれだ。
アンパンマンの作者でもある、やなせたかしさんが作詞した、日本の屈指の楽曲「手のひらを太陽に」をサンプリングした同名のシングル。
原曲の歌詞をサンプリングしたリリックに、童謡的な要素を崩さずにラップに変換するという大業を成し遂げ、シャカゾンビの世界観を確立した曲としても有名な一曲だ。
※アンパンマンを想像しながら聴くと大怪我するのでご注意を。
そしてもう1曲注目して欲しいのが、BUDDHA BRANDとのユニット「大神」の楽曲「大怪我」の輸血MIXが収録された最初のEPでもあることだ。
「手のひらを太陽に」
01. 手のひらを太陽に
02. 手のひらを太陽に〜ACROSS THE 20 MIX〜
03. THREE〜明日のため〜
04. 大怪我 (輸血 MIX)
映像はさんぴんCAMPのLIVE映像を載せているが、楽曲のみもYoutubeに上がっていたのでそっちもぜひチェックしてみて欲しい!
手のひらを太陽に(さんぴんLIVE)
説明不要だろうが「マイクを太陽に透かしてみろ、真っ赤に流れる俺の血潮」から始まり、ドープで不穏なビートが心地よい楽曲だ。
大神 / 大怪我 (輸血MIX)
さんぴんCAMPの映像を見たことがある人なら大怪我はご存じだろうが、この輸血MIXはそんじょそこらのMIXとは一線を画す。
ビートが異なり、ラップはほぼ同じと思いきや、あれ?これ違う曲?と思わされるほどの楽曲になっている。
オリジナルの大怪我の方が、楽曲として整理されており、僕的には好きなのだが、これはこれでメンバーのイカレぐらい心地よく大好きなMIXに仕上がっている。
HERO THE S.Z.
SHAKKAZOMBIEとしては、初となるオリジナルアルバムがこの「HERO THE S.Z.」
このアルバムに収録された楽曲たちは、後にシャカゾンビを代表する曲ばかりが収録されており、シャカゾンビを代表する名盤と言われている。
特に、超が付く名曲“空を取り戻した日” や ”虹” そして”共に行こう”は、シャカゾンビをそこまで知らないヘッズ達も一度は聴いたことがある楽曲だと思う。
さらにこのアルバムには、”共に行こうVersion Pure”という楽曲が収録されており、この曲はDABOを発掘したと言われるほどに伝説の一曲なのだ!
他にSUIKEN , GORE-TEX , MACKA-CHINも参加しており、NITRO結成前のメンバーたちの貴重なマイクリレーが聞ける唯一の音源と言っても過言ではないだろう。
「HERO THE S.Z.」
01. OMEN
02. Z.O.M.B.I.E.
03. THE・RETURNZ
04. 空を取り戻した日
05. 明日のため
06. NON PHIXION
07. WHO’S THAT?
08. 虹
09. MAGIC
10. FACE YOUR HAND TOWARD THE SUN
11. 信号
12. この手につかんだ真実
13. 共に行こう
14. REMAINS
シークレットトラック
15. 共に行こう (Version Pure)
feat GORE-TEX,SUIKEN,DABO,MACKA-CHIN
虹
この虹という楽曲は、キャラクターや人間性を「色」で示そうと試みた、シャカゾンビだから出せた”味”のある楽曲なのだ。
「誰にも流されぬ強い意思」や
「曲げることない固い誓い」などの並々ならぬ強烈なメッセージが込められていたり、
「感情の向くままの赤」や
「自分を上手く表現できぬ橙」など、色によってその特性を表現した技法はお見事の一言に尽きるよね。
共にいこうVersion Pure
1997年に発売されたアナログのB面に収録されたシャカゾンビの代表曲「共に行こう」をREMIXしたのが「共に行こうVer Pure」だ。
まだNITROが結成される前、少しずつシーンにその存在を認知され始めた”SUIKEN” ”GORE-TEX” ”MACKA-CHIN” そしてこの頃まだ無名だったDABOが参加し話題をかっさらう。
この頃からすでに才能の片鱗を見せ始めた3人に加え、DABOが見せたバースはビートをしっかりジャックし、正統で巧みなラップを披露しDABOの実力を知らしめるには充分すぎるほどだった。
この出来事で分かるように当時のシーンは自分が目立ってなんぼ。俺の方がヤバイ!が主流だったのだが、シャカゾンビは自分たちはそっちのけで”フックアップ”を行った。
この活動は、当時としてはかなり稀有な出来事だったのだ。
それもそのはず。自分たちはBUDDHAと大神を結成し、BUDDHAのフックアップによりシーンにその名を認知されるようになった。
その恩を忘れていなかったんだ。
BUDDHAからシャカへ。シャカからNITROへと、今やフックアップはヒップホップ特有の文化として今もなお多くのラッパー達に受け継がれる文化へと発展した。
その確たる証拠がこの「共に行こうVer Pure」であり、曲のタイトルと事実がマッチしてるよね。
なんて素敵なんだ!
WHAT U WANT?
2002年 6月5日にドロップされたシャカゾンビ名義最後のEPが「WHAT U WANT?」だ。
シャカの中でも僕が一番名曲だと思う楽曲が収録されているのでぜひとも紹介をしておきたい!
「WHAT U WANT?」
01. WHAT U WANT?
02. WHAT U WANT? (DJ WATARAI REMIX)
03. 激奏ライム (It’s My Party) feat キエるマキュウ
04. WHAT U WANT? (INSTRUMENTAL)
05. WHAT U WANT? (DJ WATARAI REMIX)
06. 激奏ライム (It’s My Party) (REMIX)
激走ライム feat キエるマキュウ
3曲目に収録されている「キエるマキュウ」を客演に迎えた楽曲「激奏ライム」が秀逸すぎると思っている。
80年代を彷彿とさせる、ダンスミュージックに強烈なBASSが乗り軽快なベース音が心地いい、爽快なビート。
そのビートにOSUMIとHIDE-BOWIEのラップがマッチし過ぎており、新旧の音と言葉が絶妙に絡まり、これぞラップミュージックと言わんばかりに頭を振らせてくれる。
そして、CQの技あり卑猥なラップが更に心地よさをアップさせ、クラップせずにはいられなくなってしまう。
青春や哀愁を思わす楽曲が多いシャカゾンビの楽曲の中にあって、これだけ軽快な楽曲は珍しいだろう。
僕的に、一番ヤラレタ楽曲となった。
SHAKKAZOMBIEまとめ
ここまでSHAKKAZOMBIEの楽曲を中心に紹介してきたが魅力は伝わっただろうか?
冒頭でも触れたようにSHAKKAZOMBIEは、音楽だけに留まらず、ファッションシーンにおいても様々な功績を残している。
特にOSUMIは世界的なファッションショーへもデザイナーとして参加しており、今やラッパーとしてのOSUMIよりもデザイナー、ディレクションのOSUMIとしての名声の方が高いくらいだ。
かく言う僕も20代の頃には、彼らの代表的なブランド「SWAGGER」を買い漁り、ドルマークに似せたSWAGGERのロゴTを何枚も所持していたくらいにフリークだった。
僕の地元の熊本という片田舎にも彼らのアパレルが届いてる事実が、いかに彼らの活動が優れていたかが垣間見えることだろう。
SWAGGER (スワッガー)
1999年 HIDE-BOWIEとOSUMIがストリートブランド「SWAGGER (スワッガー)」を立ち上げる。
このストリートブランドは、立ち上げ当初からすぐに全国、いや世界中に広がりを見せ、Kanye West (カニエ・ウエスト)や Virgil Abloh (ヴァージル・アブロー) など現在世界の音楽シーンを牽引するアーティストたちが着用したことで日本だけにとどまらず世界的に有名なブランドとなった。
「Stussy」や「Supreme」など、海外のストリートブランドが全盛の時代に、海外ブランドたちにも引けを取らない、いやそれ以上に有名なブランドであったことは言うまでもない。
OSUMIがSWAGGERを脱退しPHENOMENONを立ち上げたあともHIDE-BOWIEはディレクターとして孤軍奮闘しSWAGGERを流行りだけではない確固たるブランドへと育て上げた。
ちなみにファッションといえばNYやロンドンなどの欧米が中心であるのだが、一時的ではあるが、歴史上で欧米以外の地がファッションの中心だった時代があったのは知ってる??
そう、その場所とは2000年代初頭のSWAGGERの人気が絶頂にあった時代、日本で「裏原系」という文化が生まれた時代だった。
NYやLA、ロンドンなどにファッションの中心は海外が基本なんだけど、この一時代は日本の原宿がストリートファッションの中心にあったんだ。
その中心にいたのが実はSWAGGERやAPE、visvim、MACKDADDY、DGKなんかが牽引してたっていうからすごいことだよね。
OSUMIが立ち上げた「PHENOMENON」や「MISTERGENTLEMAN」というブランドもストリートを通り越して世界的なファッションショーにも出演を果たすなど、世界的に有名なブランドでもある。
このように日本のヒップホップシーンでも異色の存在として影響を与えつつ、ヒップホップを体現するが故に音楽の域を飛び越し、アパレル業界にも影響を与えたシャカの面々。
彼らがいなければ、音楽としてのヒップホップも、アパレルとしてのヒップホップも90~00年代にかけてこれほどの飛躍はなかったのかもしれない。
最後に、SHKKAZOMBIEの中心人物にして、日本のファッション業界にも大きく寄与したBIG-OことOSUMIに最大級のR.I.Pを。
ラッパーを経てファッションデザイナー兼ディレクターとなった彼は、生前最後の時まで病室のベッドの上で自身が手掛けるブランドのデザインに勤しんでいたという。
彼の飽くなき探究心と功績には見習うべきところがたくさん詰まっている。
彼の情熱と共に新たなステージへ立っているHIDE-BOWIEそしてTSUTCHIEの今後の活動に目が離せそうにない。
それでは、今回はこの辺りで終わりにしよう。