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NIPPSという人物像 (著者主観)
“殺虫剤を客席に撒くイカレたラッパー”
この記事に到達した方は、変態もしくは、相当なリリック好きの方がほとんどだと思う。
今回はタイトルの通り、すべてのリリックがパンチラインと言っても過言ではないラッパーNIPPSの人物像について詳しく解説をしていきたいと思っている。
まだNIPPSについて詳しく知らない人は先に彼のプロフィールを紹介した記事を読んでからこの記事に進むことをおススメしたい。
NIPPSプロフィールこちら👇
彼の謎に迫る前に恒例の僕とNIPPSについての出会いからお話させて頂こう。
プロフィールにも書いたように僕がNIPPSと最初に出会ったのは、大神(おおがみ)の大怪我だった。
今回特筆して書く彼のリリックに食らってしまい、彼を追いかけずにはいられなくなった
僕がNIPPSを知った当時はまだYouTubeなどの動画配信サイトもネットもほぼ普及していない時代。
楽曲はレコ屋に行けばゲットできたものの、本人を知るなんか奇跡に近い確率でしか出会うことができなかったんだ。
かくいう僕もNIPPSが気になって楽曲は何曲も聴いていたが見た目とかステージでの振る舞いなんて見たこともなかった。
そんな時に友人が持ってきた一本のVHS。
これが僕の人生を大きく狂わせたんだよね。
タイトルにも書いた「殺虫剤」
勘のいい方ならピンときたことだろう。
そう「さんぴんCAMP」のVHSだったんだ。
これまでCDでしか聴いたことがなく、ジャケ写で顔は見たことがあるものの誰が誰だか分からない。
そんな謎がこの映像によって全部が解決されたんだ。上がらない訳がないよね?
「さんぴんCAMP」とは?
1996年7月7日 日比谷野外音楽堂にて開催された日本のHipHop界初となる大型野外イベントのことであり、J-RAPが死んだ日のことだ。
余談だが、このイベントの観客席にはRIZEのボーカルJESSIEやSIMON JAP、サイプレス上野など、のちに日本の音楽シーンを席巻する名だたるアーティスト達がいた。
出演者は、BUDDHA BRANDを始め、キングギドラRHYMESTER、LAMP EYEにMURO、そして若かりしき頃のNITROの面々までそうそうたるメンツが出演した日本語ラップシーンの夜明けと呼ばれるイベントだ。
本題のNIPPSなのだが、さんぴんCAMPのオープニングアクトに登場したBUDDHA BRAND&SHAKKAZOMBIEのユニット”大神”が披露した「大怪我」だった。
奇しくも始めて聴いた楽曲と映像が同じ曲だったもんだから僕の中では大怪我は神格化されている 笑
DLから始まったマイクリレーは、DL→OSUMI→CQ→HIDEBOYと続きHIDEBOYがリリックを飛ばしてしまうというアクシデントがあったものの、技ありの切り替えしで最後のNIPPSへマイクが渡された。
ステージに立つ全ラッパーから、
闇病み王子a.k.a N.I.P.P.S 飛葉飛火!!
と、呼ばれステージ中央に登場した男…
目出し帽の上からハットを被りサングラス。短パンに赤と白のボーダーのポロシャツ姿にジャケットを羽織るという異様な風貌。
見た目からして “ 怪しい男 ” が第一印象だった。
NIPPSのバースが始まるとおもむろにジャケットの右ポケットからスプレー缶を取り出し客席に向けて噴射!!
衝撃だった…
「なんなんだこの人!」それが当時の正直な感想だ。
これが伝説として後世まで語られるだろう「殺虫剤NIPPS」である。
そうスプレー缶の正体は殺虫剤だったのだ
このパフォーマンスからも分かる通り、NIPPSはそこらのラッパーが到達できない「 変態 」の域にこの頃からすでに達していたのである。
NIPPSを一言で表すなら“日本で一番『ILLな変態』ラッパー”この言葉がしっくりくることが分かってもらえると思う。
変態と天才は紙一重?!
”NIPPSが考えるラッパーとは?”
NIPPSを語る時、誰しも彼を唯一無二の変態(天才)だというだろう。
どっちかと言えば天才よりの変態のほうがしっくりくると思うのは僕だけではないはず。
そんな変態とも天才とも取れるエピソードを紹介したい。
話はBUDDHA BRANDの名曲「ブッダの休日」のレコーディング少し前のこと。
Dev Largeは日本のHipHopシーンの確立に全力を注ぎたいと考えており、自分たちがドロップする楽曲も前回より今回、今回より次回といった形で上回るものを作らなければいけないという、一種の強迫観念にも似た感情を持ち続けていた。
もちろんLIVEでのパフォーマンスも同様に、常に上を目指したいと、入念な打ち合わせやリハを行うため「BUDDHAキャンプ」と呼ばれる合宿を予定していた。
そのBUDDHAキャンプの初日のことだ。
なんと!NIPPSが逃げ出したのだ 笑
職人気質なDev Largeに相反して、なんとも不真面目なNIPPS。
逃げ出した理由は「合コンがあるから」と後に語っているがこのテキトーさにも彼なりのラップに対する考え方があったからだった。
NIPPSなりのラップへの向き合い方
RAPは仕事じゃない!
ILL過ぎるSKILLの思考回路
当時いわゆる本物志向(プロ意識)であったDev Largeは、NIPPSの才能を誰よりも理解していた。
NIPPSが本気になればブッダは世界にも名前を馳せることができる。きっとこう考えていただろう。
そんなNIPPSを本気にさせるため、二人の間ではこんな会話が繰り返し行われていた。
デミさん実力があるんだから本気でやろうよ!!
ええぇぇ!めんどくさいよぉぉ!
なんとも対照的で相容れないスタイルだ。
では、なぜDevLargeはこんなにもNIPPSのラッパーとしての素質を買っていたのか?
こんなエピソードが残されている。
ブッダがまだニューヨークで本格的に活動をスタートさせるか否かの時だ。
自分たちのオリジナルの楽曲を制作しようとしていた頃、リリックを書くことにまったくの素人だったはずのNIPPSが書いた、たった4小節のリリックにDevLargeは面食らってしまい、自分もRAPをやる!とラッパーを志したというのだ。
当時のことをDevLargeはこう語っている。
本当に日本語でこんなにカッコイイ詩を書ける奴が居るんだって思ったよ。
俺のルーツは日本語ラップに関してはNIPPSだ。
彼の詩のイルさにやられて、俺は詩を書き始めた。
と、言うのだ。
才能と呼べば聞こえはいいが、リリックというもへの独自の解釈、そしてウィットに富んだ思考回路を持ち併せていたのだ。
NIPPS (ニップス)のラップの特徴
バイリンガルRAPと放送禁止用語の数々
日本語と英語を流暢に織り交ぜるリリックとフロウ